504ZXXは、501XXのジッパーバージョンのユースモデルで、具体的には27～29インチのジッパーバージョンに504Zの品番が付された。501XXのジッパーバージョンである501ZXXは1954年に誕生したと言われているが、ボーイズサイズ・ユースドサイズである504ZXXは、1952年から製造されていたようである。この1本は革パッチ・赤タブの両面に刺繍が施された「両面タブ」のモデルであるが、(1)フラッシャーに商標登録の○Rや★印が入っていない、(2)センターベルトループがオフセットベルトループになっていない、(3)片面タブの頃と同じくサイドステッチが長いといった50年代初めごろまでのディテールが備わっている。赤タブの商標登録が1953年、片面タブから両面タブへの移行が1953年ころ、オフセットベルトループへの移行が1954,5年ころと言われていることから、ここで紹介するものは1953年ころのものではないかと推測される(ただし、後述のとおりギャランティーチケットは"FOR OVER 85 YEARS"となっており、製造年代の考証が難しい。)。
フラッシャーとギャランティーチケットが付いたデッドストック。
テーパードしていない真っすぐなストレート。
革パッチ
綺麗な状態で残っており、硬化もしていない。
フラッシャー
LEVI'Sのロゴの上には、"THE RIVET'S STILL THERE"と書かれ、隠しリベッドについて記載されている。
もう一本の504ZXXの革パッチモデルや
比較的低年式と思われる紙パッチモデルでは、LEVI'Sのロゴの右上に○Rや★印が付されているが、このフラッシャーにはそれらがない。赤タブは両面タブで商標登録後のものであることから、商標取得前に印刷された在庫のフラッシャーが使われたのではないかと推測される。真ん中の長い矢印の上には"AMERICA'S FINEST OVERALL SINCE 1850"と記載されている。
ギャラティーチケット
オイルドクロス製。"FOR OVER 85 YEARS"のギャランティーチケットが付けられており、1872年から起算すれば、1957年のものということになるが、前述のように縫製の仕様等からは1953年ころのものであると推測される（なお、ギャランティーチケットが別のジーンズのものが付け替えられた形跡はない。）。ちなみに、"FOR OVER 85 YEARS"のギャランティーチケットについては、「赤タブが商標登録された1953年以降のチケット」と説明されている（*）こともある。
* "THE 501 XX - A COLLECTION OF VINTAGE JEANS"(ワールドフォトプレス)(2015)191ページ
バックポケット
正方形に近い形のバックポケット。アーキュエイトステッチの角度は浅めで、左右のバランスは若干いびつである。アーキュエイトステッチのみイエローステッチ。バックポケットの生地の色味が他とは若干異なっているように見える。
赤タブ
両面に刺繍がされた両面タブで、1953年に赤タブが商標登録されたことにより"○R"が入っている。"V"の字は均等"V"である。
ベルトループ（センター）
ベルトループは、後真ん中の縫い目に合わせて付けられており、いわゆるオフセットベルトループになっていない。1953年ころのものではないかと推測する理由の一つである。ベルトループの幅は、1.2センチと中庸な太さ。
隠しリベット
磁石の反応があり、メッキされた鉄製。工場番号の刻印はない。打ち込みの際のものか薄っすらと傷が付いている。
トップボタン
磁石の反応があり、メッキされた鉄製。全体にフラットで中央が若干膨らんでいる。
ジッパー
GRIPPER ZIPPERが使用されている。
サイドステッチ
初期から中期の片面タブのようにかなりサイドステッチが長い。
コインポケット
ここは、革パッチのものらしく耳の部分の生地が使われている。コインポケット・向こう布ともに横使いである。
コインポケット裏
耳の部分は使われていない。ステッチはシングルステッチ。
スレーキ
"944-20"のスタンプが押されている。意味するところは不明。
アウトシーム・セルビッジ
少しオレンジがかったピンク色の耳。裾は、表オレンジ、裏イエローのチェーンステッチ。
生地
やや黒みがかった濃紺の生地。糊のにおいも強く残っている。全体としてスラブ感がやや強めに感じられる。箇所によってネップが散見される。
| 表記サイズ | ウエスト |
ヒップ | 前股上 | 後股上 | ワタリ | 股下 | 裾幅 | 総丈 |
| W27/L34 | 72 | 104 | 28 | 36 | 29 | 82.5 | 21 | 108 |