バイスラーは、日本のジーンズブランドで、三啓被服という会社が製造していた。「ヒストリー 日本のジーンズ」(日本繊維新聞社)によれば、1971年には年間500万本の生産体制を組んでいたとのことで、当時の国産ジーンズメーカーの中ではかなりの規模を誇っていたようである。日本製ではあるが、フラッシャーにはアメリカ製の生地を使用していることが記されている。ここで紹介するものは、おそらく1970年代に入ってから製造されたものと思われるところ、この頃のものはフレアタイプのものが多い中、珍しくスタンダードな太さのストレートタイプのものである。

VICERER02
六角形の小さめのフラッシャーが付けられている。いわゆる国産ヴィンテージのデッドストックは、ワンウォッシュされて販売されていたものが多いが、これについては、保管時に湿気を吸ってはいるものの未洗いの状態ではないかと思われる。
VICERER02_前面
ほとんどテーパードしていない真っすぐとしたストレート。太さも当時としては中庸な太さであったと思われる。なお、他の国産ヴィンテージと同様に、ステッチは、すべてオレンジステッチで、かなり太めの糸が使われている。
VICERER02_背面
VICERER02_紙パッチ

紙パッチ

完全に硬化している紙パッチ。西部劇に出てきそうな人物がプリントされている。"American Original Jeans Pants"や"MATERIAL U.S.A"などの表記にアメリカへの憧れが強く感じられる。"02"のスタンプは品番か。
BigJohn_M1002_フラッシャー

フラッシャー

小さなフラッシャーの中に、"Material Made in U.S.A"など様々な記載がされているが、日本製であることを示す表記がまったく見当たらないのが面白い。
VICERER02_内タグ

内タグ

ウエストベルトの右後ろの裏側に付けられた内タグ。ここでも"Material U.S.A"が謳われている。
VICERER02_バックポケット

バックポケット

一文字のステッチ。写真は左ポケットだが、右ポケットにはピスネームが付いている。
VICERER02_タブ

タブ

右ポケットには、リーバイスとは逆位置に赤タブが付けられている。写真では分かりにくいが、片面のみに"100% COTTON"の刺繍が施されている。
VICERER02_トップボタン

トップボタン

"VICERER"の文字と月桂樹らしき刻印のあるボタン。リーバイスのV字ステッチとは逆方向にステッチが返されているのが面白い。
VICERER02_ジッパー

ジッパー

セミオートマチックのTALONジッパーが用いられている。
VICERER02_リベット

リベット

平らで真ん中に凹凸のあるリベット。磁石が付くためメッキされた鉄製と思われる。
VICERER02_アウトシーム

アウトシーム

ロック処理した上での脇割り縫い。裾はチェーンステッチ。
VICERER02_生地

生地

染めが深く、未洗いの状態でありながらもかなり目が詰まった生地。スラブ感は、やや強く感じられる。ネップはほとんど見られない。やや毛羽立ち感がある。

表記サイズ ウエスト
ヒップ 前股上 後股上 ワタリ 股下 裾幅 総丈
W30/L- 75 101 25 32.5 27 77 19.5 99.5