2020年秋にジェラードが発売を開始した301XX。リーバイスXXのデッドストックを裁断してデニムの糸の解析を行い、解析結果に基づいてXX生地を再現すべく開発したデニム生地"LAST RESORT"(伝家の宝刀)を使用したことをセールスポイントにしている。ディテールは、1950年代前半から中頃までのリーバイス501XXがモチーフになっているようである。
バックポケット
リーバイス501XXではバックポケットの形は左右対称になっているが、ジェラード301XXでは左右非対称になっている。写真は左ポケットだが右ポケットも同様に右側が膨らんだ形になっている。縮んだ後にバランスが取れた形になるようカットされているのか。また、リーバイス501XXではバックヨークと平行に取り付けられているが、ジェラード301XXではバックポケットはバックヨークと角度を付けて取り付けられている。
ベルトループ
センターのベルトループは、縫い目に合わして付けられている。リーバイスでいえば1952、3年辺りまでのディテール。それより後は、縫い目からずらして縫い付けられたオフセットベルトループとなる。ベルトループの幅は細めの1.2mmで、ヴィンテージで言えばいわゆる片面タブの中後期からのディテールに合わせている。ベルトループは、レプリカジーンズによく見られるようにと同様中央が少し盛ったものになっているが盛りすぎない程度になってはおり、ヴィンテージの再現としてはよい程度かと思う。また、ベルトループの縫い付けもウエストベルトに先付けするいわゆるバンザイ縫製で付けられている。ちなみに、ベルトループのうち左横のみは、オレンジとイエローのステッチが1本ずつとなっている。
隠しリベット
"JLO & CO -JPN-"の刻印入り。磁石の反応がなく、完全な銅製かと思われるが、1950年代中頃ぐらいがターゲットであれば、銅メッキの鉄製のほうがしっくり来るように思う。ただし、形状や質感は、ヴィンテージリーバイスの再現としてはよくできている。
トップボタン
磁石が付くためメッキされた鉄製と思われる。ターゲットとしてる1950年代の501XXのボタンと比べると若干ではあるが光沢が弱いか。主観ではあるが、刻印の雰囲気なども501XXに寄せたというよりも、オリジナリティーが強いという印象を受ける。
フロントボタン
トップボタン含めてボタンは5つ。ここで紹介するものと同じ28インチのリーバイス503BXXであれば4つになっている。ただし、ヴィンテージと比べると一回り股上が深いことに留意する必要がある。
股部分
逆U字の補強のみでカンヌキ止めはない。レプリカでは極太の糸を使っているものも多いが、ここではヴィンテージらしい太さの糸が用いられており、ヴィンテージの再現として素直に受け入れられるものになっている。
アウトシーム・セルビッジ
退色した赤耳がよく表現されているように思われる。裾は上糸がオレンジステッチ、下糸がイエローステッチが使われており、これもヴィンテージらしい雰囲気になっている。ただし、ほとんどの人にとって裾上げ前提のレングスになっている。
生地
実際の1950年代前半から中頃のヴィンテージと比べると、糊の付いた状態で既に赤みが強い。メーカーのYou Tubeでの紹介動画によれば、ヴィンテージに見られるような染めムラを抑えて安定した芯白性が出る染めにしたとの説明があるが、これではヴィンテージの再現という点で悪い影響を与え、ありがちなレプリカジーンズと大して変わらなくのではと心配している。他方で、スラブ感やネップ感に関しては、レプリカジーンズファンには物足りないかもしれないが、徒に強くしておらず、実際の1950年代前半から中頃のヴィンテージの再現としては好感が持てる。いずれにしろ、糊を落とし穿き込んで確かめてみる価値はあるかと思う。
表記サイズ | ウエスト |
ヒップ | 前股上 | 後股上 | ワタリ | 股下 | 裾幅 | 総丈 |
W28/- | 76 | 101 | 32.5 | 42.5 | 29 | 90 | 21 | 122.5 |