Demander (1940s)

 "Demander"というワークウェアブランドのオーバーオールであるが、ブランドについては、その詳細は不明である。年代を特定する確たる材料はないが、ポケットやバックルの形状、使用している生地が8オンスのものであることなどから1940年代のものと推測される。形状としては、一般的なオーバーオールであるが、両腰のハンマーループやツールポケットなどは付いていない。

Demander_前面

前面にセパレート状の大きなポケットが一つと両脇にサイドポケットが付き、サイドシームはトリプルステッチで縫われている。形状としては、1940~50年によく見られるスタイルのオーバーオールであると言える。
Demander_背面

背面には、大きなバックポケットが二つ。サイドには、ハンマーループやツールポケットなどは付いていない。
Demander_フラッシャー

フラッシャー

右のバックポケットに付けられたフラッシャー。農夫などが描かれたイラストが可愛らしい。ブランドは書かれているが、所在地などブランドを知るための情報は残念ながら書かれていない。
Demander_タグ

タグ

サイズと縮率が書かれている紙タグ。オーバーオールだと、16歳向けのユースサイズでもウエストは31インチになってしまう。
Demander_フロントポケット

フロントポケット

ポケットは一つだが、フラップの付いた部分と付いていない部分がセパレートになっておりペン差しも付く。"8OZ. SANFORIZED"と書かれた刺繍タグが付けられているが、このタグは、他のブランドのものでも時折見られるもののように思う。
Demander_サイドポケット

サイドポケット

両腰に付くサイドポケット。両端は、赤いカンヌキ止めで補強されている。ちなみにボタンは、着脱用のもの。
Demander_バックポケット

バックポケット

お尻の部分につけられたバックポケット。一文字のステッチが入っているが、裏面のスレーキ補強などはなく飾りステッチ。
Demander_バックル

バックル

フロントボタンに引っ掛ける形状のバックルだが、かなりサビて硬化しているため、フロントボタンに引っ掛けることができない。
Demander_ボタン

ボタン

汎用のメタルボタンが用いられている。フラッシャーには"RUST PROOF BUTTONS"と書かれているが、製造から約80年経過しているせいで、流石にサビが出ている。
Demander_アウトシーム

アウトシーム

裾はチェーンステッチだが、この時代のワークウエアらしくかなり雑に縫われている。
Demander_生地

生地

2✕1のライトオンスデニム。糊の付いた色落ちのしていない状態だが、縦に伸びる糸のムラが目立つが、触って感じるスラブ感は、さほど強くない。ネップも所々見られるがこれも多くはない。色は、ほんの少し赤みがかった深いネイビーで、黒みは感じない。